2024年12月22日(日)東京女子医科大学 先端生命医科学研究所(TWIns)にて、井上先生・田畑先生のグループと、小坂先生・村松先生のグループが合同で、これまでの活動報告が行われました。どういった内容なのか興味があり、それなら現地参加して確かめてみるのが一番ということで、先天性大脳白質形成不全症家族会代表として参加してきました。
参加者の多くは厚生労働省の厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業(通称:科研費)である「遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患の診断・治療・研究システム構築班」に名を連ねている方たちです。会議は10時からスタートして昼食を挟み、17時近くまで行われました。プログラムはこちらです。
難しい内容が多かったのは当然ですが、私のような一般人にも関係する内容や、家族会や当事者として考えるべきテーマも多々あり、とても有意義な時間でした。途中、出口先生から「家族会の田中さんも参加されているので、ぜひ一言」と突然マイクを渡される場面もあり、家族会の役割についての考えなどを述べさせていただきました。
以下、特に気になった点をメモしておいたので以下に記しておきます。
先生たちのホームページに載っている治療研究は、隔月の奇数月に更新されている。植松有里佳先生が積極的に情報をアップデートしているので、研究者の方はぜひチェックしてほしいとのこと。
令和6年度より厚生労働省において、指定難病に対しての診断ガイドラインの改正があり、これまで難病と認められていた人が各種手帳などの更新を行う際、新しい基準だと更新が認められないケースが出てくる問題がある。それでは困るので、もしそのような場合は主治医が改正前の基準で判断してほしいというお知らせが出ているとのこと。先天性大脳白質形成不全症については告示番号139にて情報がある。
今年度からエクソーム解析が保険適応になっているので、今後それによる診断が進んでいくと考えられる。さらにMRIとMRSを併用することで判断しやすくなるのではないか。
アランハーンドンダドリー症候群の原因となるのがMCT8欠損症で、患者数は40から50名ほど。治療研究が進んでおり、MCT8欠損症はホルモンと神経の両方からの治療が必要。新生児スクリーニングじゃないと分からないことがある。結構患者が多いイメージ(PLP1異常より多いんじゃない?)
先天性大脳白質形成不全症の患者さんは、ある程度の年齢になると身体機能の退行が見られることがあるけど、この「ある程度の年齢」は何歳で、誰が判断するのかというと、ある程度時間が経過したあとで「この年齢くらいから退行が始まったかな」と主治医が判断する。まだ決まった年齢を出せるほどの調査数はない。
Mindsガイドラインライブラリのホームページで、診療ガイドライン作成手順などがアップデートされている。しかし希少疾患の診療については定量化できないのが難点。サンプルサイズが小さく、小児を対象とした場合にその疾患が生涯に渡って続く場合、年齢の範囲をどこまで広げるか。また、評価の項目についても小児や成人で同じで良いか、など。
緩和ケアのこともこれから積極的に議論していくべきではないか。ACP(Advance Care Planning)という言葉を医師側が誤解しないように使っていく必要がある。どうやって死なせるか、ということではない。
家族会は、医療従事者に向けてもっと意見や提案をぶつけて欲しい。何か言ってもらわないと、研究者はマウスを治すための研究をしている気分になってくる(笑)。とはいえ、家族会のメンバーは一般人であり、先生たちに対して意見や質問といっても見当違いで失礼なことを言ってしまうかもしれない、という思いから発言しないケースもある。もう少し家族会と先生たちの接点を増やす、またはその前段階として家族会のメンバー同士がつながる場を増やすということが求められているのかもしれない。
このホームページ(家族会ホームページ)で発信できる情報として、
・用語集的なもの
・成人移行に関すること
・年齢に応じて使える制度の一覧
・起こりうる身体的リスク(側弯とか)やその対応
などがあるのではないか。
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